映画「アイの歌声を聴かせて」 ネタバレあらすじ感想 2021年最高な幸福感に包み込まれる

Uncategorized
Pocket

SNSで絶賛されていて、前々から気になっていた「アイの歌声を聴かせて」を鑑賞してきました。本作のことは全然知らなかったのですが、TwitterのTLでかなり盛り上がっていたので、この映画のことを知りました。

実際、ネットの評判通り面白かったのか、さっそく感想を書いていきたいと思います!

あらすじ

景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオンは抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!
シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミの前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。
彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ、人気NO.1イケメンのゴッちゃん、気の強いアヤ、柔道部員のサンダーたちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。(HPより抜粋)

以下、ネタバレ含みます。

(1)土屋太鳳の美声に感動

この映画は、急遽時間ができて観に行く事になったので、実は予告編すら観ずに、何も情報を入れない状態で観にいきました。最近あえてノー情報で映画を観ることにハマっています(笑)
余計な先入観がなくなり、映画に集中できたり、傑作に出合ったときの感動が元々期待して観に行った作品より、大きくなるからです。事前に予告編すら観ずにフラッと気になる映画を観る鑑賞方法は、結構良いのでオススメです。

さて、ポンコツAIのシオンの声が土屋太鳳だということは特徴的な声から、本編が始まってすぐに気づきました。本作は全員声優で固めているのではなく、メインキャストは俳優で固めた映画なんだなーなんてことをぼんやり考えながら最初に観ていました。

シオンの声が土屋太鳳だということはすぐに分かりましたが、冒頭でさっそくシオンの歌うシーンになったとき、あまりの美声に歌唱シーンだけはプロの歌手と入れ替わったのかと思いました。それくらい凄まじい美声で、劇中で歌われる曲数が物足りなく感じられるほどでした。正直、土屋太鳳が表現する、シオンの歌をもっともっと聞いていたかったと思いました。

元々歌がうまい女優さんで、ミュージカルをやっている事も知っていましたが、ここまでうまいとは知りませんでした。正に人の心を動かすような歌声・表現力でした。シオンの歌声によって、サトミやトウマの心が突き動かされていく様子に説得力を持たせる大事な要素だったと思います。

歌手と違って俳優が気持ちを込めて表現する歌はとても心に響きます。土屋太鳳の歌を聞くために、もう一度本作を観に行くのも全然アリな気がします。

主役のサトミの声は福原遥が演じていて、こちらもとても自然で、最後まで福原遥だとは気づきませんでした。声優とは異なる、自然な人間の声が宿っていたと思います。

ちなみに、劇中「ムーンプリンセス」の歌を歌う咲妃みゆの歌声も最高に綺麗なので、こちらの動画も聞いてみてください。すっごく良いです!!

「アイの歌声を聴かせて」とは全く関係ないのですが、この映画を観終わって、咲妃みゆの動画⇧を観た時、「グレイテスト・ショーマン」の『Never Enough』を想い出したのでこちらもどうぞ!

このシーン本当に良かったな〜泣いたな〜

(2)田舎の高校×SFの掛け算

物語の舞台となるのは、AIが社会に根付き当たり前になった世界。家のスマート家電は常識で、毎朝AIが起こしてくれて、料理の時間も計ってくれる。サトミの体調も毎日気遣ってくれます。学校にはロボットが普通に存在し、生徒や先生の手伝いをしています。なかには柔道ロボもいて、柔道の技をプログラミングされ柔道技を使えるので、柔道部の練習に一役買っていたりする。今までにはなかった斬新なアイデアも面白かったです。

大袈裟なSF描写はほとんどなく、非現実なのはシオンの存在くらい。舞台となる田舎の世界観は、現代でも十分リアルなAIとロボットを描くことで違和感が一切なく、映画が始まってとても自然に本作の世界観に入り込めました。

「ブレードランナー」のようなSFの世界観だったら、やはり少し世界観に追いつくのに時間がかかったと思います。その観客側のハードルを難なく越えて観ることができました。

数十年後の「想像のできる未来」を映像として観れたのがとても良かったです。

「田舎の高校」と「近未来」という反対に位置するものを掛け合わせることで、吉浦監督は見応えのある映像を作ることに成功しています。
映画全体に流れる、どこか懐かしさを感じる田園の風景とリアルな近未来描写が、また新しい物語を作り出してくれました。

全編通して感じる本作ならではの幸福感は、この田舎の舞台設定から来るものかもしれません。ノスタルジックな風景が感傷的な気分にさせてくれるのです。

(3)AIが問う幸せの定義とは

本作のストーリーは、AIのシオンがサトミたちのクラスに転校してきて、容姿と明るい性格からすぐに人気者になる→学校での試験運転がAIを保有する企業にバレてしまい、シオンの廃棄が決定→サトミたちがその企業に乗り込み、シオンのデータを助け、取り戻しに行くという超王道なストーリーです。

ストーリー構成自体の真新しさはないものの、田舎の高校×SFという設定と土屋太鳳の歌声が全て良い具合にブレンドされ傑作となっています。

劇中、シオンはサトミに対してしつこく「サトミ、今幸せ?」と聞く。

「幸せって人それぞれでしょ」サトミ達は、シオンに毎回聞かれるその質問を面倒くさそうに一蹴するが、改めて考えると幸せってなんだろう?

AIからの無垢な質問が、ずっと考えてこなかった「幸せの定義」を考えるきっかけになっていくのです。
ラストのクライマックスでシオンの正体が分かり、シオンはサトミが子供の頃から常にサトミの近くにいて、笑顔にさせようとしてきたことが判明します。

成長するにつれ、サトミは孤独を選び周囲から孤立した存在になっていきます。周りとの繋がりを自ら断っていくのです。孤独な高校生活も、冒頭でチクり魔として周囲から陰口を叩かれ、友達もほとんどいないことが描かれています。

しかし、シオンが学校に現れてから、シオンがAIであるという秘密を他の生徒と共有することで、サトミは次第にトウマや他のクラスメイトにも心を開き、人との繋がりの心地よさに気づいていきます。
サトミは友達と話すことで自然と笑顔になり、周囲の繋がりの重要性に気づくのです。

孤独で笑顔のなかったサトミをずっと見てきたシオンにとって、友達との繋がりを持てたサトミを見ることが何よりも幸せなのです。
そこまでの物語を終えて、やっと「サトミ、今幸せ?」のシオンのセリフを聞くと意味合いが180度変わり、涙が出てきてしまいます。
シオンの先にはトウマという、もう一つ仕掛けと伏線があるのですが、それは今回は省略します(笑)

また、シオンがサトミたちと一緒に記念写真を撮るシーンがあります。その際、「なぜ写真を撮るの?」とシオンは皆に問いかけます。

サトミ達は答えに詰まってしまいますが、トウマが「バックアップを取るため」と説明したのです。
写真撮影=記憶のバックアップ
なるほど、と納得させられたセリフでした。

僕たちは大して見返すこともない写真を、なぜあれほど毎日のように撮りまくるのか。
それは記憶のバックアップを取っていたんですね。写真とは、記憶から消えてもいつでも思い出せるように必要なものだったのですね。

僕たちにとっては当たり前でも、AIの素朴な疑問から浮かび上がってくる本質的な物事。「アイの歌声を聴かせて」はそんな人間の本質的な問いを与えてくれる作品でした。

まとめ

至極のエンターテインメント作品を観ることができて、とても感動しました。
これぞエンターテインメントだと、見せつけられた気がします。予算をかけまくった映画だけでなく、面白いストーリーと美しい映像、心に響くメッセージと心のこもった演技で、人々の記憶に残る傑作は作り出せるのだ、という気合いが観客に伝わってくる映画でした。

そして、改めて感じましたが、口コミで皆、口を揃えて絶賛している映画は、まず間違いなく裏切らないということが再確認できました(笑)

コメント

タイトルとURLをコピーしました